Virtual JS Days 2024 のハイライト
2024年2月20日~22日、第3回目となる「Virtual JavaScript Days」が開催されました。JavaScript の幅広いトピックを採り上げた数多くのセッションを実施。その内容は、Senchaの最新製品、ReExt、Rapid Ext JSまで多岐にわたり、JavaScriptの最新のサンプルも含まれます。
このカンファレンスでは多くのトピックをカバーしています。Senchaでセールスエンジニアを務めるMarc Gusmano氏は、注目すべきセッションを主催しました。Marc は Sencha の最新製品「ReExt」について、詳細なプレゼンテーションを実施。その機能とメリットを、参加者に理解してもらうべく詳細に説明しました。
カンファレンスは、Senchaのジェネラルマネージャを務めるStephen Strake氏によるキーノートでスタートしました。キーノートでは、会社の将来のビジョンについての洞察を共有しています。世界中から JavaScript 開発者、エンジニア、愛好家が集まるとてもエキサイティングなイベントとなりました。これは、JavaScript エコシステムの最新情報について学ぶユニークな機会と言えます。
1日目のセッション
キーノートのハイライト
Stephen Strake(Sencha ゼネラルマネージャー)が、「JS Days 2024」最初のセッションを担当。キーノートのテーマを共有しました。
セッションでは、JavaScriptの豊かな歴史と進化を詳細に掘り下げ、JavaScriptの初期に直面した課題にフォーカスを当てました。さまざまなブラウザとの互換性の問題により、その採用がどのように阻止される恐れがあるかを詳細に解説。「JavaScriptは、ECMAで標準化されたにより、開発者にとっての作業が容易になりました。彼らはすべてのブラウザで動作するコードを書くことができるようになりました。」とStephen。JavaScriptアプリケーションの寿命を確保する上で、この取り組みが極めて重要な役割を果たしていると強調しました。
将来を見据えて、StephenはWeb開発の将来についての刺激的な絵を描いてみせました。Stephenは、Rapid Ext JSやReact ReExtなどの新しいツールが、業界にイノベーションをもたらすだろうと予測します。Rapid Ext JSを用いれば、少ないコードでより迅速にWebサイトを作成することができます。「React ReExtは、2つの人気のテクノロジーを組み合わせたものです。それはシームレスな Web エクスペリエンスを生み出します。」Stephenの語りかけからインスピレーションを受けた聴衆は、これらの新しいテクノロジーをさらに深く知りたいと感じたことでしょう。
その後、Marc Gusmano氏にバトンタッチして、Senchaの新製品ReExtについて、その詳細を語りました。
ReactアプリケーションでExt JSコンポーネントを使用する方法 – ReExt
Marc Gusmanoのプレゼンテーションでは、Sencha Ext JSコンポーネントをReactアプリに統合する方法について説明しています。React ReExtというツールを使用することで、これが可能になります。まず、Reactを選択する理由として、多用途性と開発者からのサポートを強調。そして、React ReExtについて紹介します。このツールを使用すれば、ReactプロジェクトでExt JSコンポーネントを使用できるようになり、開発プロセスがシンプルになります。再利用可能な単一のパーツが提供され、多くのビルド環境で動作。これにより、開発者は既存のExt JSコードをReactアプリケーションで使用できるようになります。ReactやSencha Ext JS SDKに大きな変更を加えることなく、これを実現できるのです。
React ReExtは、シンプルかつ柔軟なソリューションです。ReactおよびExt JSの最新バージョンとの互換性などのメリットがあります。また、多くのライセンス オプションをサポートするほか、さまざまなビルド環境で動作します。Marcは、React ReExtを始めるための実践的な例と手順も紹介。これには、npmパッケージのインストールが含まれます。コンポーネントのセットアップも必要ですが、構成には ReExtData.jsonファイルを使用しました。開発者は、ReactアプリでSencha Ext JSコンポーネントを使用したいと考えています。そのような開発者には、このプレゼンテーションがガイドとなるでしょう。
ChatGPTのパワーを活用してJavaScriptコーディングをマスターする (Ext JS プロジェクト)
Sencha セールスエンジニアのAndres Villalba氏が次のセッションを担当。Chat GPTがExt JS開発者によるアプリ作成にどのように役立つかについて説明します。まず、Sencha cmd、Sencha Ext JS 7+、Chat GPTアカウントなど、前提条件のリストアップから始めます。Chat GPT上でのExt JSの最新バージョンは7.3.0 です。開発者は Ext JSテンプレートから始めることをお勧めします。ModernツールキットとClassicツールキットのどちらかを選択でき、よくある間違いも検出できます。これには、間違った名前空間、ストア名の欠落、不完全な配列などが含まれます。
次にプレゼンテーションでは、Chat GPTがExt JS開発者のさまざまなタスクをどのように支援できるかを詳しく説明します。これには、データの作成、画面レイアウト、JSONオブジェクトからのクラスの保存が含まれます。グリッド、グラフ、フォームの作成も含まれます。このドキュメントには詳細な手順が記載されています。プロジェクトをビルドする方法も紹介しており、ProfessionalまたはEnterprise、あるいはトライアル版を使用して、自分で試すこともできます。
「かんばん」ボードコンポーネントの作成
ソフトウェア開発者のRafael Méndez氏は、自身のセッションで、「かんばん」ボードコンポーネントの作成について発表しました。同氏は、カスタムコンポーネントを2つ導入し、特定のニーズに応える能力を説明しました。プレゼンテーションでは、2つの主要なタイプのコンポーネントのカスタマイズについて解説。既存のコンポーネントの強化、複合カスタム コンポーネントの作成について説明しました。カスタム コンポーネントを作成する手順の概要には、要件の理解、フレームワークのベース部分の拡張、構成の使用、カスタムイベントとメソッドの作成が含まれます。かんばんボードを作成するには、Sencha Cmd、Sencha Ext JS 7+、および Visual Studio Codeが必要です。このチュートリアルでは、Ext JSを使用してかんばんボードを構築する方法を説明し、質疑応答へと続き、セッションを終了しました。
2日目のセッション
最新のSenchaツール「Rapid Ext JS」によるExt JSアプリケーション構築
イベント2日目は、Sencha セールス エンジニア Marc Gusmano氏によるRapid Ext JS にフォーカスしたセッションです。Rapid Ext JSは、Visual Studio Codeの拡張機能であり、Ext JSアプリケーションのビジュアル構築を実現し、コンポーネントのドラッグ&ドロップをサポートします。Sencha Architectと比較すると、Rapid Ext JSはメタデータを利用せず、VS Code拡張機能としてホストされ、@sencha/ext-gen を採用する点が異なります。インストールプロセスについて紹介したあと、ビューモード、新しいビュージェネレーター、Senchaツールボックス、コンポーネント階層などの主要な機能について解説。さらに詳しいガイダンスとして、ドキュメント リソースについても説明しました。このセッションでは、迅速なアプリ開発を実現するRapid Ext JS について、貴重な情報が提供されました。
Google Firebaseを用いたJavaScriptアプリの認証
次のプレゼンテーションでは、JavaScriptアプリケーションの認証にGoogle Firebaseを使用することにフォーカスし、Senchaの開発者アドボケートであるWemerson Januario氏がFirebaseの概要とその機能について説明しました。Firebaseは、統合が容易で、多くの認証方法が用意されています。また、セキュリティ、スケーラビリティ、リアルタイム更新も備えており、多くのプラットフォームで動作します。Firebaseプロジェクトのセットアップがいかに簡単であるかを紹介し、JavaScript アプリでそれらを構成する方法も説明。デモでは、Firebase認証を使用したSencha Ext JSアプリをご覧いただき、そのソースコードも見ていきます。
Ext JS ViewModel をマスターする:効果的な実装のためのベストプラクティス
このプレゼンテーションでは、Model-View-ViewModel(MVVM)アーキテクチャにフォーカスし、Ext JSのViewModelの概要を紹介します。検討事項を分離し、コードの保守性を向上させる上で、 ViewModelの重要性を掘り下げ、ビューとデータモデル間の同期のための双方向のデータバインディングを容易にするViewModelの役割を見ていきます。さらに、このプレゼンテーションでは、Ext JSフレームワーク内でデータの読み込み、APIリクエスト、その他の非同期タスクを効果的に管理するための戦略についても説明します。
3日目のセッション
Apache SolrでStoryblokコンテンツにインデックスを付け、Nuxt3で検索する方法
このエキサイティングなセッションでは、Apache SolrでStoryblokコンテンツのインデックスを作成し、Nuxtで検索するプロセスの概要を説明しています。StoryblokはヘッドレスCMSで、ビジュアル エディターのライブプレビュー、コンテンツモデリング、カスタムワークフロー、プラグイン、デジタルアセットマネージャー、ユーザーロール、ローカライゼーション、APIファーストのアプローチなどの機能が装備されています。Webサイトは、Nuxt/Vueを使用して構築され、Cloudflare Workerでデプロイされ、Apache SolrはApache Luceneに基づくオープンソースのエンタープライズ検索プラットフォームとして機能します。Solrは、いくつもの機能を提供しており、これらには、スキーマと動的フィールドを備えたドキュメントストレージが含まれます。また、言語分析、ファセット検索、同義語も含まれます。さらに、ストップワード、ブースト、スペルの提案、「より近い類義語」の提案、インデックス作成のためのWebhookによる検索/インデクサー APIも含まれます。
現代の職場におけるJavaScriptの役割
次のセッションでは、現代の職場における JavaScript の役割について説明します。その進化、その一般性、多くのプラットフォームでの使用法にフォーカスしています。JavaScriptは、ブラウザベースの言語からスタートし、サーバーサイドおよびデスクトップアプリケーションにまで拡張されました。Node.jsやElectronなどのテクノロジーがこれに役立っています。これは、UI開発およびフルスタックアプリの上位に位置する言語です。その適用例は、物理プロセスの自動化からMicrosoft やGoogleアプリのスクリプト作成まで多岐にわたります。このセッションでは、自動化における JavaScriptの役割についてもフォーカスしています。ローコードアプリ開発におけるその役割とAI との統合についても説明。プロの開発者と一般の開発者の両方にとって、その重要性をアピールしました。また、学生にJavaScriptを教えることの重要性についても言及。JavaScriptを理解すれば生産性が向上し、雇用の機会が創出できることを示唆しています。
TypeScript 101: 生産性と開発者エクスペリエンスの向上
最後のプレゼンテーションは、OPrimoDevで有名なLuciano dii Souza氏によるTypeScript 101の紹介です。生産性と開発者エクスペリエンス(DX)の向上におけるTypeScriptの役割を解説。TypeScriptを使用するための基本的な要件の概要を説明します。これには、Node.jsとVisual Studio Codeなどのコードエディターも含まれます。そして、JavaScript (JS) と TypeScript (TS) を比較。TypeScriptは、1995年にBrendan Eichによって作成され、その追加機能によってJS を強化します。TypeScriptには、エラーを早期に発見し、生産性を向上させることなどといった利点があります。大規模なコミュニティもあり、段階的な導入が可能になります。プレゼンテーションでは、プリミティブ型、オブジェクト型、関数型、共用体と交差型、リテラル型、AnyおよびUnknown型、タプル型などのTypeScriptの機能を詳しく説明し、Visual Studio Code 内の例を示します。最後に、開発者のエクスペリエンスを向上させ、さらに学習リソースを提供するためのツールについて説明しました。Luciano dii Souza氏は、ソーシャルネットワークを通じて質問や交流を呼びかけています。
重要なポイント
今回の「Virtual JS Days 2024」には、世界各国から2,800名を超える開発者が参加しました。このカンファレンスは、最新のJavaScriptツールと製品デモに関する情報を提供することを目的としており、今回は、Senchaの最新製品であるReExtとRapid Ext JSについても取り上げました。
まとめ:また来年会いましょう!
これまでのすべてのJS Daysイベントと同様に、Virtual JS Days 2024も成功裏に終了しました。主要なJavaScriptエンジニア、Sencha MVP、開発者がセッションに参加し、Q&Aセッションも実施。Senchaは今回のカンファレンスを通じて、次のテーマの可能性についても示唆しました。実に刺激的なイベントでした。また来年、お会いしましょう!
Senchaチームは、GWT (旧 Google Web Toolkit) コンパイラを使用してWebアプリケーション開発を行う包括的なSencha Javaフレームワーク「GXT」のバージョン4.2をリリースしました。GXTを用いれば、Javaコードをコンパイルすることで、高度に最適化されたクロスプラットフォームHTML5アプリケーションを構築できます。
Ext JS開発を効率化し、生産性を加速する革新的なローコードエディター「Rapid Ext JS」の正式リリース「バージョン 1.0」の提供を開始しました。Sencha Ext JSを利用している開発者は、開発プロセスを効率化し、スムーズかつスピーディにWeb開発を推進できます。この記事では、Rapid Ext JSがExt JS開発プロジェクトの効率化にどのように貢献するのか、その主要な機能とともに紹介します。
Senchaチームは、Sencha Architect バージョン4.3.6の提供開始を発表します。この新バージョンでは、4.3.5リリースをベースとして、Ext JS 7.8での品質強化を受け、Classicツールキット向けの新機能Froalaサポートが追加されたほか、シームレスなインストール、容易なアップグレードプロセス、さらなる品質向上が図られています。